森博嗣のと呼ばれる1作目。 読んだこともないオープニング、随所に登場する言説の秀逸さ、情景と思想が交互に混ざる絶妙な間、専門的な興味の広がり。荒唐無稽な感もあるが、コンピュータの世界に置き換えられると何も文句が言えない。
この人の小説は、「当たり前」という概念を崩壊させてくれる風変わりな学術書のような気分。それから色々な思考をめぐらす隙間を与えてくれる。普通のミステリーなら強引な起承転結に終始してこうはいかない。その面では坂本サトルの作風(歌詞)と相通ずるものがあるかもしれない。
ちょっと思考回路をいじってみようと思って森を久々に読んでみたのだが、シリーズ全作を読破してないので春休みでまた何冊か読むつもり。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12/11
- メディア: 文庫
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