出口のないパラダイス
最後の光、と言うべきでしょうか。悪く言えば無節操なアルバムで、小室さんがヒット狙いで作ったのは有名な話ですが、だったらハウスなど音楽ファン向けのものは別で展開して(リミックスアルバムを作るとか)、この時は“月とピアノ”のコンセプトに添ってアダルティな世界を築いた方がよかったのではないでしょうか。このような雰囲気は特に後半に顕著です。で僕が大好きなのはこちらなんですよね。ハウスは元気な時しか受け付けませんけど、後半はどんな日も聴けます。最近は寝る前くらいしかCDを聴けないのですが、このアルバムの4曲目からが大活躍しています。人気曲「Jean Was Lonely」はもちろん、ハウスサウンド「Just Like Paradise」「Crazy For You」、切ない歌モノ「あの夏を忘れない」、木根ヴォーカルながらかなりの名曲「月はピアノに誘われて」、ハモンドのイントロにやられる「Tomorrow Made New」、プログレ的な小室バラードの大作「Think of Earth」など、兎に角しっかり作り込まれた曲ばかりです。