素敵な呪文

日々の感想文。気が向いた時に書き散らしてます。80・90年代J-POP、7ORDERの話題は頻出。since 2006.3

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80・90年代J-POP、7ORDERの話題は頻出。
since 2006.3


今年読んだBL漫画ベスト10

【10位】それでも俺のものになる Qpa edition/高崎ぼすこ

 祝・復刊&続刊!! 評判も上々のようで嬉しいですね。
 音楽一家の中ひとり落ちこぼれて出版社勤めの伊月が、イケメンコンダクター榊と(レイプ気味に)身体を結び、徐々に絆されて気付いたら榊ナシではいられなくなって……というのが本筋。ただ僕は、伊月のライバル編集者・大和×天才ヴィオリストながら真性のビッチネコ・久世さんのCPの方がスリリングで気に入りました。
 この漫画が人気を博したのは間違いなくエロの多さだと思うのですが、その描写にもかなりハマりました。この作家は絶対パンツ好き仲間だな(笑)。Twitterにも漫画のイラストを沢山あげてくれていて、描いてて楽しいのが伝わってくる。未読のBLファンは少ないでしょうけど、まだの方は是非どうぞ。


【9位】チグハグ☆ラブシック/ワヰ
チグハグ?ラブシック (アプレコミックス)
 筋肉野郎受の表紙のみで買いましたが大正解でした。修正軽めなのもよかった。これ白抜きだったら残念すぎる。AVで観た警官コスプレの男優を忘れられずに妄想オナニーしてる…ってただのゲイだろう(笑)。薫は漢だけど生粋のネコで、認めてないからもだもだする。攻のAV男優・直生が大人だから成立したCPかもしれません。
 これ今続編もやっていて、薫の親友と担任教師のスピンオフだそうです。僕としてはあまり魅力を感じない二人なんですが、絵も好きだし次も読もうと思います。


【8位】僕らは嘘に気づかない/らくたしょうこ
僕らは嘘に気づかない (ビーボーイコミックスデラックス)
 商業デビュー全然知らなかった……。らくたさんはFree!の二次(鮫柄)が出逢い。ギャグセンスや絵がどれもこれも好みで同人誌を数冊購入しました。実力は十分解っていましたので創作に魅力があるかが鍵だったのですが、いやぁやっぱり素晴らしかった。表題も十分面白いけど、無骨な攻の照れまくる姿がかわいい「ココロのとなり」が大好きです。もう1冊、丸々1CP『島くんとアキくんのないしょ暮らし』もオススメ。腐れ縁いいすなー。
 らくたさんには商業もどんどん描いてほしいと思いました。まぁ僕は美魚で満足できるんですけど(笑)。久々に自信持って好きと言える作家です。


【7位】スクリーン/村上キャンプ
スクリーン (バンブーコミックス Qpaコレクション)
 面白い漫画に絵は関係ない!多分昔なら読まなかったでしょう。絵が兎に角雑で(それが良いのですが)、エロも結構露骨に描いているけど全然エロく見えない。それでもプロットとキャラがしっかりしていて、満足度が半端じゃないです。イケメン俳優と一般人の恋というのは目新しくもないですが、作者も言うように一般人の方が全くBL的でない容姿(笑)。それもなんか二人の幼い頃からの関係を知ると気にならなくなるってかむしろいい男に見えてくるから面白い。落書きっぽい絵も、よく見ると細かいところまで書き込まれていて好感が持てます。
 キャンプさんはまだこの本しか読んでいないので来年は全作制覇しようと思います!


【6位】男心と胸毛と女装/日野雄飛
男心と胸毛と女装 (バンブーコミックス Qpaコレクション)
 この人の漫画は好き嫌いが結構分かれると思います。人を選ばないあっさりコミカルなタッチの絵柄で、所謂地雷ネタをばんばん出してくる。これまでの作品を見ても、獣人受や青姦フェチ、教師生徒の3P、デブ受など…。僕はこの方の絵とセンスが大好きなので何でも来いなんですけど(笑)。いい漫画家はやっぱり何を描いても面白いんですよ。
 女装とか毛の問題は誰かが言うでしょうから、他にコレ良い!という点を挙げますね。まず攻の体型!変にソフトマッチョとかじゃなくて、いかにも30くらいの男の体型って感じでツボでした。それから毛利の腕毛を揉んでアリを作る(笑)同僚がいるのですが、単なるフェチネタとして体毛を扱うのでなく、キャラクタの生活として描かれてる感じで気が利いている。あと嫁島(すごい苗字)が泣きはらして腫れた目、後のSEXシーンでもずっとそのままなのは良かったです。


【5位】ドラトラブ/中川カネ子

ドラトラブ (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
 読書メーターで知りました。カバーの雰囲気は苦手だし、女装攻なんかまず読まない。なのに優れた言葉選び、絵もギャグも好みすぎて一気にハマりました。性器描写も強気で良いですね。
 地味な高校生タロが一目惚れした美人は女装男・仁で、勢いのまま公園でSEX、しかも家庭教師に来るという駆け足気味のBLなんですけど、これ仁の方が最初からタロに惹かれてしまってガンガンたらしこむんですよ。見た目どおりのチャラ男だったのがタロに真剣に恋して一途な純情男子に変わっていく。対するタロも最後には誘い受に大成長します。いやーいい。二人のキャラクタが堪らない。個人的なハイライトはタロが仁の部屋でストッキング履いてエッチするくだり。パンツが…エロです……。
 この本がデビュー作とは信じきれない。あまりに気に入ったので他の単行本も全て買いました。暫く作家買いだな。


【4位】山田と少年/三田 織
山田と少年 (Canna Comics)
 完全に偏見で失礼しますが、似たような絵柄やテーマのBL漫画はかなりあると思うんです。粗い描線、センシティブなネーム、年の差とか性癖への悩みとか云々。けどこの作品を読むと、有象無象のそれらに比べ三田さんは別格と思う。
 一番グッと来たのが、千尋が雨の中ひとり帰る場面。どこにでもいる普通の男子を演じて生きてきた千尋に、山田は何も格好つけず励ましの言葉をかける。同性愛者の自分を初めて素直に受け止めてくれた山田を思い返して千尋が号泣します。山田も男同士の関係に戸惑いながら、千尋への慈愛を胸にゆっくり進み出していく。本当にいいBLだった。
 事件がほぼ無いのでつまらないという意見もあるかもしれませんが、それは千尋の耳バラを見てから言え!(ドヤァ)


【3位】ガンバレ!中村くん!!/春泥
ガンバレ! 中村くん! ! (EDGE COMIX)
 ただのネタ漫画で終わっていないのがすごい。漫画として良作です。実際にいたら本当にキモい中村と、誰からも好かれそうな広瀬。ただ、ふだんネクラな中村にも素直な思いがあるし、ノリのいい広瀬も周りに疲れる気持ちがある。こういうところを描いているのが、昔の漫画と違うところだと思うんですね。レトロな絵柄で今らしいBLを描いてくれた。BL界に名を残す作品だと確信してます。
 昔ながらの作風はキャラ造形にも顕著ですが、脇役がとにかく濃い!この学校の文化部は訳わからん奴しかいないな(笑)。


【2位】ササクレ・クロニクル/鹿乃しうこ
ササクレ・クロニクル (バンブーコミックス 麗人セレクション)
 近年、鹿乃さんの絵がどんどん好きな傾向になりつつある(『おとなかわいげ。』ではより解りやすい)。もう何を描いても素敵に見えてしまう。
 これは藤野奏が主役でいいんですよね?ただの続編だったらもう少し低かったと思うのですが、相変わらず鹿乃さんが麗人ミサイルを連発した内容(笑)と薄幸ゲイの藤野がいじらしくて、文句なしの名作です。藤野かわいそう、というギリギリのところで大志を近づけて、最終的にくっつくのでホッとしました。しかも両想いエッチのエロいこと…。
 本編の時系列でいけばこれも未だ過去の話。藤野弟のスピンをさらに連載しているようです。楽しみ。


【1位】やたもも(2・3)/はらだ
やたもも 2 (バンブーコミックス Qpaコレクション)やたもも 3 (バンブーコミックス Qpaコレクション)
 今年は順位付けにすごく悩んだのですが、1位はやっぱりこれしかないです。2冊分のヴォリュームは勿論、最初からこの着地点が浮かんでいたのだとしたら作者天才だろう。そのくらい充実してます。絵が相当変わったけど殆ど気にならず、むしろ物語のパワーにぐいぐい引き込まれました。二人の本心がちゃんと明らかになって、モモの告白も嘘くさくなくて最高でした。お隣さんとして登場した新キャラ栗田が間違いなくMVP。確かに栗田がいなかったらツッコミ不在なんですよね(笑)。小冊子も届きました(修正軽め)。
 モロにBL漫画なのにとてもリアリティを感じるのは、僕の中でこの二人が生きてるってことなのかな。漫画読んでて一番嬉しいことかもしれない。BLも読み始めて14年になるけど、これだからやっぱやめられんな。