発売当時、いろんな音楽雑誌を読んでて逆に聴く勇気が出なかったアルバムです。オザケンが変わってしまったとかそんなんばっかで。オザケンは全盛期('95)から行方をくらます98年初頭までリアルタイムで大好きだっただけに、変わった彼を知りたくないとか、既に他の音楽が趣味だったとか、理由を挙げようと思えばそれなりに出てきますけど。でも20代も終わりになる頃に漸く聴いて、当時スルーしたのは正解だったと確信しました。ガキだった僕が聴いても殆ど良さが解らなかっただろうし、この時オザケンが試みたトラック中心のR&Bは今の方が圧倒的に理解しやすい。NYで触れたブラックミュージックのトレンドをそのままパッケージしたとかそんな触れ込みだった気がしますが、それだけ洋楽のセンスに邦楽が追いつけていない時代だったということでしょう。
「あらし」「麝香」「今夜はブギーバック」は比較的キャッチー。それ以外は完全にトラック重視です。「一つの魔法」なんか好きですね。「bassline」「風と光が貴方に恵むように」「踊る月夜の前に」とかゲタはいてんじゃねえよ等とムカついてたかもしれない、昔なら*1。けどこれアルバム通して聴くと全然ツッコむ気にならない。同じトラックをループしてるDJみたいな感覚で聴けちゃうのかな。オザケンのウィスパーボイスもコーラスと噛み合ってて最高だし、どんだけ先を行ってたのかと舌を巻く完成度。最近、寝る時にかけてます。このアルバムはやっぱ夜だよね。
しかもこういうのを通ってきていま90年代に限りなく漸近した作品を生んでるところがシビレるんだよな~。
*1:球体の奏でる音楽より全然マシですけどね(笑)。