素敵な呪文

日々の感想文。本年3月に15周年を迎えました。90年代のJ-POPと7ORDERは多く取り上げます。

何かいいものを求めてます。それらの所感を投げ込みたいときに使う場所です。
2008年12月にいったん終了。1年後の12月に、コンセプトを改めて再開してみました(過去記事はそのままです)。よろしくどうぞ。
書店員を経て出版社に勤める漫画スキー(特にBL)。
その他頻出ネタとしてはTM NETWORK、90年代ビーイング、ジャニーズなど。
時事ネタも何かどうしても不特定多数に向かって叫びたいような出来事があれば書いています。


泣くな騒ぐな卑屈にゃなるな

 ストリーミング解禁記念に一度無料プレイしてみましたが、このアルバムは絶対CDで聴いたほうがいいなと感じました。
 稲葉浩志ソロワークの最初にして最高傑作。帯もテキストも取っ払った装丁、全編に渡る寂れた質感、含みある歌詞世界、当時の稲葉の容姿。何もかもが奇跡としか言えないほど揃った大好きなアルバムです。ソロツアーを始める際「オープニングは冷血でと決めていた」旨の発言がありましたから、本人の中でも極めて重要な作品なんでしょう。
 敢えて言えばリード曲の「くちびる」最初聴いたときの衝撃は忘れられない。《僕のインチキもイカサマも~》のとことかいつも口ずさんでた。「眠れないのは誰のせい」「波」「なにもないまち」などそれまでB'zで試みられなかったような味わい深い楽曲群もアクセントになっているし、「台風でもくりゃいい」「灼熱の人」「JEALOUS DOG」等後半を畳み掛けるストレートなロックナンバーはB'zファンの誰もが好きでしょう。「愛なき道」サマソニで聴いて感動したなぁ。
 このアルバムのハイライトはなんといっても「Soul Station」。Spotifyで稲葉が作ったソロ楽曲プレイリストでも、リリース順とかでなく最後に配置されたとても意義ある1曲です。小さい頃は歌詞の意味や哀愁に溢れたアレンジがよく解らず退屈で、呟くような稲葉のヴォーカルも苦手でした。10代が聴く歌ではないですね(しかも最初に聴いたの9歳)。この曲の素晴らしさを本当に掴みかけたのはやっぱり大人になってからだと思います。難しい言葉や中二病みたいな世界観は一切無しでよくこんな歌詞を書けますよね……本当凄いとしか言い様がない。ただただ哀しい希望のない歌だと暫く思っていたんですが今聴くと、変わりたいと思いながらも弱い心に負けて毎日を惰性で生きてしまう人を支えてくれる歌だと感じました。《君の魂は君の言うことしか聞かない、誰の言葉も届かない……》は、結局自分次第なんだよという風に聞こえます。他人や環境に求められて自分をリニューアルできる人って変温動物みたいで確かに凄いと思いますが(笑)、世の中そんな人はごく僅かで、大抵はこの主人公みたいな感じだと思うしね。けれど自分の魂ひとつで幾らでも変えることができる。そうしてアリゾナへ出かけていくわけですね(違う?)。